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Guam Extreme Adventure Race 2002
初出場の日本チーム大健闘
7月13日にグアムで行われたワンデイ・レース、GEAR3ではサイクロン直撃の傷跡も生々しく、ジャングルでは吹き倒された大木があちこちで進路をふさぎ、道は氾濫後の泥の川と化していた。相次いで襲った台風6号・7号のダメージは大きく、全島が停電・断水状態に陥って直前の肝心な時期に電話もメールも通じなくなっていた。日本から参加予定のチームの予約したツアーもキャンセルとなり、便を振り替えて何とか成田を飛び立つ。到着したグアムでは市街地でも建物は壊れ街路樹は倒れ、停電のため信号が全く機能していない。こんな状態の中、本当にレースは開催されるのだろうか。
グアムを中心に近隣のサイパン、香港、日本から計24チーム、総勢96人が参加。日本からは、男性4人のCW−Xトランシェンド、男女ミックスクラスには東龍門改めオリエンタル・ドラゴンズ、ココペリ、ダルマXと初出場でいきなり4チームが参加した。
当日朝5時に初めて各チームに地図が渡され、6時にレーススタート。本来は島の最北端から中央部まで南下して来るはずだったが、台風での壊滅状態からコースを変更せざるをえず、島の中心部を三角に回るシーカヤック10km、トレッキング30km、MTB30kmのコースとなった。
チーム4人が2人ずつ分れ、一方はコブラというシットオンタイプのシーカヤックで海岸線に沿って西へ向かい、他方はトレッキングの格好で海へ入る。リーフの中にある島まで歩くという話だったが皆、足がつかなくなって泳ぐ羽目になり、しかもかなり流れが速くて苦労させられた。浜に戻ってくると折り返し地点まで海岸沿いを走る。美しい海岸線の景色を楽しみながら、帰りは種目を交代してスタート地点まで戻る。そして4人が揃ったところで次のランニングへと移る。
この時点でトランシェンドが総合2位、ココペリと東龍門はほとんど最下位。次のセクションは、町の中を抜けて飛行場横のCP2まで行く単純なランニングだった。トランシェンドは遠回りしてしまいCP2についた時には6位に順位を落とし、うまくショートカットを見つけたココペリと東龍門は半分くらいまで巻き返した。
今回初出場の日本チームには、大会側がサポートクルーを無料でアレンジ。英語のわかるチームにはアメリカ人のクルー、英語ができないチームには日本人をつけてくれた。ブリーフィングの後、各選手の荷物を分ける箱をわざわざ買って来てくれたり、寝る間も惜しんでサポートの準備をしてくれたらしい。彼らのサポートぶりにはどのチームも口を揃えて感謝していた。なかなかして欲しいことをよく心得ていて気持ちよくレースできたという。日本とは段違いの暑さに苦しめられたが、氷水で濡らしたタオルを各自の頭の上からかけてくれるなど、ネイビー仕込みの暑さ対策は効果抜群だった。
CP2からのMTBセクションでは快適なオンロードをパイプラインに沿って進んだのも束の間、次第に倒木が現れ、また泥の川と化した道の中をプッシュ&キャリーで進む。蚊や蟻のわんわんしている茂みで膝まで浸かりながら、チームの苦労するシーンを撮ろうと待ち構えていると、なんとそんなところを乗って走って来る奴らがいるではないか!しかも楽しそうな歓声とともに(誰!)! 聞くところによると、彼らの国ではこれぐらいの川なら充分道として通行するらしい。
アンモニア臭漂うコーヒーシェイクをやっと抜け出したと思えば、今度は胸つき八丁の急坂・ウィズ・バンブートラップ。背の高い竹藪が台風でなぎ倒され、まともに道に覆い被さっているのだ。しかも急登。ひっかかりまくるバイクを何とかなだめながら竹の中を担ぎ上げるしかない。
CP3からはトレッキング。急な斜面を降りて沢に出る。暑い日中は涼しい所にいられるよう、沢をたどるように大会側は設定していたのだが、太陽の照りつける稜線をわざわざ選んで苦しんだチームもいたそうだ(誰〜?)。PC4からはまたMTBで、赤と灰色粘土の林道をひたすら進む。ともするとタイヤが埋まり込んでしまうぬかるみ、日本では体験したことのない蒸し暑さ、さらに地図はなんと30年前のシロモノ。
夕方のスコールでは全身ずぶぬれになったが、選手たちにとってはむしろ恵みのシャワーとなった。
夕闇の迫る中、ほとんどのチームはPC7でタイムオーバーとなり、キャニオニングのセクションに入ることができたのは上位2チームだけ。
暗くなったロードをとぼとぼと町まで降りる選手たちに、通りかかる車がクラクションを鳴らして応援していく。海岸のCP9にたどり着くと、サポートたちが待ち構えていた。拍手で出迎え、言葉が通じないながらも大声で励まし、陽気に飛び回る女の子、見違えるようにきれいになったMTBとシューズを用意して、にこにこ顔でチームを迎えるごついネイビーたち。レース前日に初めて会ったばかりなのに、日本人チームの快適なレース展開を一番に望んで親身なサポートをしてくれる彼らには、本当に感激させられた。
おかげで選手たちも気を取り直し、最後のMTBセクションに移る。あとは海岸線をホテルまで帰るだけだ。しかし停電のため真っ暗な中、台風による倒木や何やらがごろごろしている。地割れこそないものの阪神大震災直後の須磨海岸を思い出してしまった。最後は満天の星空の下、たいまつに火をともして海を渡り、ビーチに突き立ててフィニッシュ。
優勝したのは地元グアムのチーム・シェル・エコ。デイブ・ハンター、アラン・モリソン、グラント・ロベリッジは昨年のGEAR2でトップでゴールしたが、チームメンバー1人を欠いていたため失格となったチームだった。今年は初出場のゴードン・ウィルコックスをニュージーランドから加えて、堂々の優勝を果たした。タイムは12時間8分。ゴールしたのは夕方6時8分で、まだまだ明るく、浜に上った彼らは夕陽を背負って自分たちの長い影を踏みながらフィニッシュした。
出場した24チーム中、完走を果たしたのは15チーム。完全完走は2チームのみという中で、日本チームは男女ミックスで東龍門2位、ココペリ4位、ダルマX5位、CW−Xトランシェンドは男子チーム6位と大健闘し、翌日の授賞パーティで大きな拍手を浴びた。 |
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