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第2回G-Shockグアム・エクストリーム・アドベンチャーレース
「アジアで最も過酷なワンディレース」
7月14日、土曜日午前4時。グアム南部のイナラハン文化村に選手達は集まっていた。ここで初めてこれから進むべきコース地図が選手達に配られ、オーガナイザーのジェイムズから注意点の説明がなされる。非常用の無線機やゼッケンなどが配られ、116人の選手達は作戦会議に余念がない。あっという間に午前6時、レースはグアム南部のイナラハン湾からスタート。各自、湾の中に浮いているココナッツの中から自分たちのチームと同じ番号の書かれたものを探し出すというゲームから始まった。スタートと同時に波しぶきを蹴立て、4人組29チームの選手たちは、まだ冷たい水の中にいっせいに飛び出した。湾を横切って自分たちのチームのココナッツを指定の場所まで運んだら、そこからMTBにまたがり、チェックポイント1のササラグアン山を目指すのだ。
グアム特有の赤土は、非常にきめの細かい粘土質で、乾けばひどい土ぼこりがたち、濡れれば泥沼と化して手におえない。前日まで2週間近く雨が降っており、路面の状況は最悪だった。ぬるぬるすべる急な上り坂のほとんどを、バイクを担いで上ることになり、夜明け前の冷たい海の中に入った直後に筋肉を酷使したため、足の痙攣を訴える選手が続出した。チェックポイント1を過ぎると道は下りとなり、スピードも乗ってスリル満点のダウンヒル。
最初のバイクレグの終点はタロフォフォ滝。6、7メートルの高さから滝壷にダイビングする。さらにチームはカヤックとランニングの二手に別れて川を下るが、ここでも長雨のためあちこちで竹が倒れてルートを阻んでおり、何度も重いカヤックを引き上げて乗り越えなければならなかった。しかし海に出れば、そこは目のさめるように美しいラグーン。透き通った水の上を、赤や黄色のカヤックで漕ぎ渡り、海岸のチェックポイントでランニングのチームメイトと合流した。
ここでまたゲームが行われた。今度はキャプテンを除く3人のメンバーが目隠しをし、キャプテンの指示に従って海水を皿にすくってチームのバケツに運び、いっぱいにするのだ。まごまごしていると皿には穴があいていて、せっかく汲んだ水がこぼれてしまう。今回いくつかのチェックポイントでは、このようにチーム全員でクリアするゲームが設けられている。チームワークが問われるものであると同時に、ジャッジやサポーターたちが選手の状態を観察し、レースを続行して問題ないか、あるいはリタイアしたほうがよいかを判断する材料にするためにも考案されたものだという。
首尾よくチームのバケツをいっぱいにできたら、ランニングとカヤックを交代して、再び内陸部へとさかのぼる。イリグ川の橋のたもとで合流したチームは、ジャングルの中に消えていった。ここから先、いよいよテンジョー山を越え反対側の海岸へと島を横断するのだ。うっそうと茂るジャングルでは見通しがまったくきかない。ススキのように葉の縁が鋭く切れる草が背よりも高く生い茂っているところもある。コンパスを使ったナビゲーション能力の差、そして何よりもこのグアム特有のジャングルを熟知しているかで大きくチームの間が開き始めた。気温はうなぎのぼりに上がり、選手たちの消耗も激しく、このセクションで多くのチームが落伍した。
ジャングルをくぐり抜け、トップチームが海岸に姿を現したときには、もう真っ暗になっていた。ここからまたMTBに乗り、マリンドライブを北上する。最後のチェックポイントで朝のゲームのチーム・ココナッツを受け取り、ヒルトン・リゾート&スパのゴールまで走る。夜9時過ぎ、ホテルの駐車場に4人揃った元気な姿を見せたのはAH3チームX。優勝タイムはオーガナイザーの予想を大幅に上回り、15時間20分3秒となった。彼らを追い上げた2位のチームはバサーク・マスターズ、4人全員が40才以上のベテランチームだった。今回完走したチームはこの2チームのみとなり、着外ながら完走を果たした選手も含め、完走選手の半数は40代・50代だったのだ。体力だけではなく、経験や精神的な余裕のある大人たちのレースだったといえるだろう。
優勝したチームXの1人は在グアムの日本人男性、松下さん。グアムではハッシュというランニングレースが盛んで毎週のように行われており、その中で友達ができ本格的にトレーニングに取り組むようになったという。
「言葉では何とも表現できないほどの達成感。一生忘れないほどの過酷な1日をチームメンバーと乗り越えた思い出。とにかく、みんな参加する価値あり! 日本からもぜひ積極的に参加し、JAPANパワー見せつけましょう」と熱いメッセージを届けてくれた。 |
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